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【重要】現金をかき集めた、その次にすべきこと | 社長コラム

【重要】危機時の経営(1)
いますぐ経営者がすべきたった1つのこと:「手元の現金を厚くする!」
#2:現金をかき集めた、その次にすべきこと

【重要】危機時の経営(1)目次

  1. 第2ステップ「キャッシュアウトを徹底的に減らせ!」
  2. 第一段階:コストカット
  3. 第二段階:支払交渉
  4. 第三段階:経費の減額

※お知り合いに、経営者の方がいらっしゃったら、こちらシェアしていただけましたら幸いです。この危機を1社でも多く乗り越えて頂けますように。。。

こんにちは。
キズナキャスト小林  inputです。

先日、「いますぐ経営者がすべき『たった1つ』のこと」というコラムにて、それは「手元の現金を厚くする!」ことだと、お伝えしました。

また、その第1ステップとして、合法的かつ可能な限り、あらゆる手を尽くして、「現金をかき集めろ!」というお話と、いまこの瞬間からすぐにでも動くべき、最優先の資金調達の具体的な方法を2つ書かせて頂きました。

ご覧になられた方々からは、これからの行動すべき優先順位が自分の中で整理できた、これで会社を守れそうだ、など、物凄い数のご反響を頂き、私の辛い過去の経験が、皆さまのお役に立てたようで嬉しく思う反面、みなさんの状況をもっと早く知り、もっと早くご案内すべきだった、と反省もしています。。。

でも、いまからでも、まだ遅くはありません。
もしまだご覧になっていただけていないようであれば、ぜひご覧になって頂けたらと思います。


【重要】危機時の経営(1)
いますぐ経営者がすべきたった1つのこと:「手元の現金を厚くする!」
#1:合法的かつ可能な限り、あらゆる手を尽くして、現金をかき集めろ!input

第2ステップ「キャッシュアウトを徹底的に減らせ!」

さて、今日は先日に続き、「手元の現金を厚くする!」ための第2ステップについてお伝えします。

それは、「キャッシュアウトを徹底的に減らせ!」です。

つまり、第1ステップは、人間の体で言えば、輸血をしたようなイメージです。
そして、今回お伝えする第2ステップでは、流れ出る血を、限りなく止めていきます。

この状態をいち早く作ることで、1ヶ月単位で命を延ばすことができます。

というのは、企業というのは、基本的には支払いのタイミングというのは決まっていますので、そこを乗り切れば1ヶ月後までは何とかなるのです。

その間にも、営業もできますし、先月提案していた営業の結果を受け取ることもできるかもしれません。月初の段階では、その月末の資金が足りてなくても、その間に何かが起こり、なんとかなってしまったりするものなのです。本当はこんなことが何度も起こらないようにすることが、ちゃんとした経営なのですが、実は私は、このような奇跡のお陰で助かったことが、実は何度かあります。

しかし、その前月末で資金がなくなってしまえば、このような奇跡も起こりようがないのです。

したがって、目の前の1万円を削ることが、未来の1ヶ月の命、もっと言えばそこを乗り越え、その先に永続できる道につながると考え、いまから徹底的に止血していただきたいのです。

なお、このような状況になると、経営者は色々考えてしまうと思います。
目の前のこと、そして将来のこと。
そして焦り、不安になり、混乱し、最後は思考が停止するか、もしくは余計は意思決定をしてしまいます。

こういう場合は、まず目の前の不安をクリアしちゃいましょう。
これから先の将来のことも不安だとは思いますが、それを考えるのは、しっかりと止血した後でも十分間に合います。

むしろ、精神的にも、脳科学的にも、まずは落ち着いた状態をつくらないと、冷静な判断も、新しいアイディアが出てこないことが証明されています。

すべての出来事は、本来「中立」なのです。その中立の出来事を、「ポジティブ」に捉えるのか、「ネガティブ」に捉えるのか、実はその時の感情が大きく影響している、と言われています。

つまり、ネガティブな感情のまま、どんなに一生懸命考えても、でてくるアイディアはネガティブなものになりがちです。誰しも、明るい期待に溢れる未来を描きたいものですよね?
だとしたら、まずは「ネガティブな要因を消しておく」こと。これを最優先すべきなのです。

したがって、まずは、前回お伝えした第1ステップ「現金をかき集めろ!」、そして今回の第2ステップ「キャッシュアウトを徹底的に減らせ!」が重要なのです。
そして、「手元の現金を厚くする!」ためには、次の第3ステップ「成金・補助金・給付金を徹底的に活用する」がありますが、これは次回お伝えします。

そして、「未来」について考えるのは、「手元の現金を厚くする!」の3つのステップを終えてからで十分間に合いますから、まずは目の前のことに集中することが大切です。

ということで、今日は「手元の現金を厚くする!」の第2ステップ「キャッシュアウトを徹底的に減らせ!」について、具体的な方法論を三段階に分けてお伝えします。

第一段階:コストカット

コストカット

 

第一段階は「コストカット」です。

まずは、これを「徹底的」にやっていただきます。

「なければならない」コストだけ残し、あとは全てカットします。

「あったらいいな」は全てカットです。

「徹底的」というのは、ひとつひとつの支払いをすべてチェックする、ということです。
そして、金額の大小ではなく、1万円でも切り詰める気持ちでやってください。
1万円くらいだから残しておいてもいいか、ではダメです。
月1万円のものでも、10個捨てられたら月10万円、年間120万円になります。

一度外に出て行ったお金は、戻ってきません。

そして、最後お金が足りなくなるのは、1万円とかで泣くことになるわけです。
その時になってから、
「あー、あの時、あの費用を止めておけば・・・」なんて後悔がないように。
「あの会社に支払ったあのお金が、今手元にあれば・・・」なんて思うことがないように。

とにかく、これを今「徹底的」にやってください。

中小企業なら数時間で終わるはずです。多少大きな企業でも、1週間かかる、ということはないと思います。

私たちがコンサルティングで入る場合は、クライアントに伝票や仕訳帳などを2ヶ月分ほど出していただき、一行づつ、一枚づつ、これを確認していきます。

問いかけるのは、「これは必要か?」ではなく、「これがなくなったら利益に影響がでるか?」です。

1万円コストを削ったら、営業利益が1万円以上なくなる。という場合は、当然残してください。そうでなければ、すべてカットです。売上が多少シュリンクしたとしても、営業利益優先で判断してください。

つまり、直接的に営業利益に影響の出るもの、会社の運営に支障をきたすもの、これだけを残し、それ以外は一切の妥協なく、すべて解約してください。

未来への投資、快適にするためのもの、これらはいまかけるコストではありません。
むしろ、今考えている「未来」と、今後考え直して見えてくる「未来」が同じでない可能性も十分にあり得ます。そのためにも、一旦ここでリセットして、今後より柔軟に判断できるように、これまでの判断をしっかりと断ち切っておく必要があります。

とにかく命を延ばす。
これが最優先です。

以上が、第一段階となります。

第二段階:支払交渉

交渉

 

そして、第二段階は、「支払交渉」です。

この第二段階をやるかどうか、どこまでやるべきか、は企業の規模やいまの状態、業種・業界にもよります。
どこまでキャッシュが逼迫しているか、今後の未来への不安がどのくらいなのか、にもよりますが、今回のコロナの状況を見ていると、多くの経営者は、早めにこの第二段階にも手を打っておくべきだと考えます。

そして、少しでも先行きが危険だと判断したら、即行動に移ってください。
1ヶ月の遅れは、将来の数ヶ月分の命を失うことになる可能性があります。

なお、この第二段階「支払交渉」にも、優先順位がありますのでそれをご説明します。

1.税金や社会保険に関する支払交渉

1つ目は、税金や社会保険に関する支払交渉です。

私も以前はそうでしたが、多くの経営者が勘違いしているのは、国への支払債権を甘く見ています。

破産の手続きを経験したことのある方はご存知だと思いますが、民法は商法において、債権の優先順位というのが定められています。
そのうち優先債権と言われている中でも、税金や社会保険は最優先債権に位置付けられています。

参考に記載すると、優先債権は以下の順番で定められています。

  1. 公租(国税・地方税)
  2. 公課(国民年金や国民健康の保険料など)
  3. 共益費用
  4. 雇用関係の請求権
  5. 葬式費用
  6. 日用品の費用

したがって、何かあれば、彼らは法の名の下に、合法的に強制執行をかけてきますから、油断しているとある日突然銀行口座が差し押さえられて一切のお金が動かせなくなってしまう、ということになりかねません。

そのため、ちゃんと交渉して、延期や分割払いすることを双方合意のもとに決めておく必要があります。

いまはコロナの関係で、国は既に支払いの相談を受け付けることを発表していますので、ちゃんと話をすればすぐに受け入れてくれるはずです。

一番行けないのは、国は大丈夫だろう、と鷹を括って、後回ししてしまうことです。

国家権力を、決して舐めては行けません。

2.銀行への返済交渉

第二段階「支払交渉」の2つ目は、銀行への返済交渉です。

これは何段階かに分けて行います。

最初のステップは、まずは条件変更というものです。これは、いわゆる「リスケ」と呼ばれるもので、現契約の返済条件を見直していただく交渉です。

銀行にとって一番軽くて受けやすいのは、返済金額の変更です。その分返済期間が長くなることになりますが、元金返済がゼロよりも大きければ、今回のコロナのようなことがなくても、比較的受けてくれる交渉レベルです。

また、これよりも、ちょっとハードになる交渉は、元金返済を一旦ゼロにして、利払いのみにする交渉です。いわゆる据置状態に戻す、ということです。

ただ、おそらくですが、いまこれらの交渉をすれば、新しいコロナ融資への借り換えを提案されるのでは、と思います。これが出てくれば、しめたものです。
その新しい融資の契約で、据え置き期間を設定することもしやすいですし、利率もかなり改善されるハズです。

また、銀行の営業担当にとっても、新規契約を取った、ということで評価されるので、双方にとってプラスになる落とし所と言えます。

そして、対銀行で、一番最後の交渉レベルは、債権放棄して頂くことです。

これは保証協会の保証が付いていれば、比較的受けてくれる可能性があります。また、いまみたいな状況になれば、銀行も貸倒引当金をある程度積んでいるはずなので、そのキャパの範囲なら社内の稟議も通るはずです。

ただ、会計上PLに損失として計上される取引になりますので、営業担当としては、評価が下がる取引になりますので、その辺りの担当者への配慮は重要です。

そして、この手続きに入ると、銀行与信はブラックになりますのでそれ以降、銀行や信金からの新たな借入はまずできなくなる、と言うことを頭に入れておいてください。

また、銀行が債権放棄した債権は、サービサーという債権回収会社にその権利が移動します。

イメージとしては、銀行の債権が3000万円だとしたら、それが300万円で債権回収会社に売られるイメージです。

そうすると、銀行はその差額の2700万円が貸倒引当金に(つまり、損金計上)、債権回収会社は、300万円の仕入が発生することになります。

したがって、サービサーからすると、300万円以上で回収できれば、プラスなので、一括返済してくれれば500万円でもいいですよ、ということになったりもします。

ただ、ここで注意しなければならないのは、「保証協会」は甘くない、ということです。

借入を受けるときは非常にありがたい存在だった「保証協会」が、この段階になると急に鬼のように感じるかもしれません。

他の民間のサービサーは上記のように返済額の交渉ができるのですが、保証協会のサービサーは、一切減額交渉はできません。

なぜならば、保証協会の貸付原資は、税金なので、その返済免除は絶対にしない。という考えのようです。
納税者側の立場から言えば、信頼できる対応と言えますが、借りている側からすると、かなり厳しい対応と言わざるを得ません。

何十年か前は、政治家などを使えば、交渉ができた時期もある、という話を聞いたことがありますが、私が知る限り、15年ほど前からは一切取り合ってもらえません。

ただ、毎月の返済額については交渉可能なので、もしこの選択肢を取ることになったらご相談してみてください。

つまり、債権回収会社(サービサー)は、実は民間の方が、いろいろな交渉ができるので、柔軟な対応が期待できますが、保証協会は全く融通が効きませんのでそれをあらかじめ知っておく必要があります。

3.銀行以外の既存取引先への支払い条件交渉

第二段階「支払交渉」の最終ステップは、銀行以外の既存取引先への支払い条件交渉です。

これは、会社としての信用問題に大きく影響しますので、慎重に判断が必要ですが、生き残るためには必要であれば、勇気を持って着手してください。

まずは、支払い期限の延期、そして分割支払いの順番で交渉することになります。

これは会社によって全く反応が変わりますが、こちらの状況を理解して寛容に対応してくださる会社もあれば、非人道的な対応をされるケースもあります。

この交渉をすることで、普段見えない本当の人間性が見えてくる、ということもあります。

でも、共通して言えるのは、最後返済が終われば、皆さんとの信頼関係は元の状態よりも良くなったりします。

なので、この交渉に入る場合は、誠意を持って、きちんと状況説明と、返済意思を伝えて、交渉してみてください。

あと、大事なのは交渉する相手をどう選ぶのか、というのは経営者の判断になります。

わたし的には、自分の企業よりも小さな企業には負担をかけない。自分たちよりも大きな企業とはしっかりと向き合う。と決めています。これは経営者ご自身の価値観、もっと言えば生き様にも繋がるところですので、この危機を乗り越えた後に、その方々とどのような付き合い方をしたいのか、でご判断いただければと思います。

第三段階:経費の減額

返済の減額に成功したら、次は最後の第三段階「経費の減額」です。

「経費の減額」は、第一段階は「コストカット」とはちょっと意味が違います。

第一段階は「コストカット」は、経費そのものを削る作業でしたが、第三段階「経費の減額」とは、残したコストの額を減らすための作業です。

つまり、支払先の企業との交渉が発生しますが、売上を上げるための交渉に比較すれば、圧倒的に短期間かつ可能性高く、成果をあげられます。

売上を上げるためには、営業先の意思決定が必要なので、いくらこちらが努力したとして、頑張ったとしても、成果が上げられるかどうかは、最後は相手がその決定権を握っており、こればかりはこちら側ではどうすることもできません。

しかし、「経費の減額交渉」については、こちら側が主導で交渉を進められるので、売上をあげるよりは遥かに簡単と言えます。

ちなみに、例えば営業利益が5%だとすると、100万円の経費の減額は、売上2000万円に相当しますから、かなりのインパクトになるはずです。

なお、当社では、この「経費の減額交渉」の専門チームを持っていますので、もし手に余るようでしたら、お気軽にご相談ください。

 

その場合は、成功報酬型でご支援させていただきますので、リスクなくメリットだけを享受できる仕組みにしています。

このような状況ですから、お互いの強みを活かしあい、助け合い、この混沌を乗り切りたいと思います。

そして次の最高な時代へ、ともに。


あと、今回ウェブ上でお伝えしてきましたが、やっぱり公の場では伝えられない情報があります。

そこで、こちらについて今週末5月1日(金)16時〜18時まで緊急ウェビナーを開催することに決めました。
融資を受ける際の書類の書き方や、必ず意識して伝えなければならない秘訣など参加いただいた方限定でお伝えできればと考えています。

また助成金については、当社のアライアンス先のTM人事労務コンサルティング株式会社の方にご説明いただく予定です。

 

全3回の連載コラムとしてお届けする『危機時の経営(1)』をご覧になっていただき、分かりづらい点やご不明な点などある方や、ご自身で手続きを始めてみたがうまくいかない方などにご参加いただければと思います。

なお、融資等は一回資料を提出してNGになってしまうと、再審査はほぼ難しいので、もしこれから申請される方は、その前に受講されることをお勧めいたします。

では、次の最高な時代を目指して、ともにこの混沌を突き抜けましょう!

 

※もし内容に共感していただける部分などございましたら、ぜひ下記より「シェア」や「いいね」していただけませんでしょうか。そして、「いきいき!わくわく!働ける未来」に向けて共に行動できましたら幸いです。

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